お手元にあるロイヤルコペンハーゲン、これって本物かな?と思うこと、ありますよね。またこれからオークションやインターネット通販でロイヤルコペンハーゲンを買おうと思っている時に、偽物を買ってしまわないか心配です。
そういう時に必要なのが「目利き」の力になります。
ロイヤルコペンハーゲンの目利きが、ロイヤルコペンハーゲンを見るべきポイント、本物や偽物の的確な情報を知識として、最低限の目利き力を持った上で、お買い物を楽しみましょう。
いきなり一流の目利き力を手に入れるのは難しいですが、基本的な知識をつけておけば、今後「明らかな偽物」をつかまないことができるのではないでしょうか。
是非参考にしていただき、今後楽しくロイヤルコペンハーゲンのお買い物をしていただけると嬉しく思います。
目次
ロイヤルコペンハーゲンの偽物は「ほとんどない」という事実とその簡単な理由
ロイヤルコペンハーゲンに偽物は存在するのでしょうか。答えは残念ながらYesです。
ロイヤルコペンハーゲンの偽物とは具体的にどんなものなのでしょうか。ちょっと想像するのは難しいかもしれませんね。
少し質問を変えてみましょう。
今から自分で「ロイヤルコペンハーゲンの偽物を作ろう」、と思ったとすると、どうでしょう。簡単にできそうですか?
あ、余裕です。という方はまずいないのではないでしょうか。とても単純な話ですが、重要な話です。
ロイヤルコペンハーゲンの偽物を作ろうと思うと、まず陶磁器を焼く窯を勉強しないといけませんよね。そして自宅の庭に窯でも作りますか?ちょっと現実的ではなさそうです。偽物を作るならわざわざロイヤルコペンハーゲンにしなくてももっと簡単にできそうなものがありそうですよね。
ロイヤルコペンハーゲンは焼物の技術はもちろんのこと、たとえ焼けたとしても、手で絵付けをしている商品も多数あります。ハンドペイントの勉強もしないとダメですし、本物のロイヤルコペンハーゲンは一流の職人がそれぞれの工程を行う訳ですから、とても一夜漬けでできるとかいう代物ではないですね。
長い歴史を持つロイヤルコペンハーゲンの陶磁器は職人さんたち約30人もの手を経てできるとされています。原料の陶土を採取することに始まり、成型、絵付け、焼成、釉薬、そして美しく箱詰めされるひとつひとつの過程が、30人によってリレーされて、ようやく1個のカップやプレート、ポットなどが製品として形を成すのです。
それでもプレミア付きのイヤープレートなど、ごく一部の商品で偽物が散見されますが、全体としてロイヤルコペンハーゲンの偽物は非常に少ないと言えるでしょう。
この記事では「偽物かな?」と思ってしまいやすい事例や、ロイヤルコペンハーゲンと深いかかわりがあるために、ロイヤルコペンハーゲンと混同されがちなブランドなど、様々な事例を紹介してまいります。
間違った偽物を手にしてしまわないように最低限のロイヤルコペンハーゲンの知識が手に入るようになっています。
しっかりと理解して楽しいお買い物をお楽しみください。
ロイヤルコペンハーゲンの偽物のバックスタンプは存在するのか
ロイヤルコペンハーゲンの偽物を疑っている方はバックスタンプを見て疑っている方が多いですね。まずは真贋判定でとても重要なバックスタンプについてご紹介します。確かにロイヤルコペンハーゲンの偽物はバックスタンプでかなり高確率で見分けがつきます。
最初にも触れたようにロイヤルコペンハーゲンは陶磁器ですから、そもそも偽物を作るのも大変です。
わざわざ窯まで用意してロイヤルコペンハーゲンの偽物を作るなら、自分のブランドを展開するほうがよっぽど合理的で自然ですし、偽物を作る気なら、わざわざ作るのが明らかに難しそうなものではなく、まず簡単そうなものを選ぶでしょう。
ロイヤルコペンハーゲンは一部のイヤープレートでプレミアのついているものがあります。そのようなもので偽造のバックスタンプが報告されている程度で、後はあまり見かけないというのが、ロイヤルコペンハーゲンのプロの目利きの中では共通認識です。
こちらを確認すれば、一部のイヤープレートにとんでもない値段がついていることがわかりますね。そんなイヤープレートの中には偽物が出回っているものがあるということです。
基本的にはそれ以外はあまり偽物のないブランドですね。
ご心配な方は、公式のロイヤルコペンハーゲンのお店で購入すればもちろん偽物はつかまないでしょう。
お手元の商品などはロイヤルコペンハーゲンでは真贋判定はしていませんので、信頼できるヴィンテージやアンティークのショップに聞いてみるのもよいですね。
編集部おすすめの新古品やヴィンテージ、アンティークを扱っておられるグラスクラシックさんも合わせてご紹介しておきますので、気になる方は一度ご覧ください。
価格も品質も対応もとても良いですので、おすすめのショップです。
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプ(デンマーク外製造)
それでは特に、「偽物かも?」という勘違いが多い、ロイヤルコペンハーゲンの基本的なバックスタンプ2種類をご紹介しましょう。
ロイヤルコペンハーゲンは2004年以降は、タイなどデンマーク外でも製造されています。
デンマーク外の製品のバックスタンプにはDenmarkの文字が見られません。そのために偽物ではないかと疑ってしまう方はいらっしゃいます。こちらはDenmarkの文字はありませんが、本物のバックスタンプです。
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプ(デンマーク製造)
こちらはDenmarkの文字が入った、本物のロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプです。
先ほどのDenmarkと入っていないバックスタンプとは印象が随分違うと思いますが、どちらも正真正銘の本物のロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプです。お手元のいくつかのバックスタンプの見た目が少し違うというだけで偽物であるとは全く言えません。
バックスタンプで、偽物かどうかや製造年代をしっかり判定したいという場合には、バックスタンプについてもう一歩踏み込んだ知識が必要ですね。
ロイヤルコペンハーゲンの様々な種類のバックスタンプ。年代特定も可能
上の2種類はとても基本的なバックスタンプの知識です。年代の古いものなどについては、実はロイヤルコペンハーゲンにはたくさんの種類のバックスタンプがあります。
ここでバックスタンプの説明を詳しくするとかなりのボリュームになりますので、別の記事でまとめております。バックスタンプについて詳しく見る方はこちらの記事をご参照ください。

「このロイヤルコペンハーゲンは偽物かも」と思いやすいのはこんな時
二級品
ロイヤルコペンハーゲンの商品にはバックスタンプという言わばロイヤルコペンハーゲンのマーク、ロゴが入っています。
そのロゴの一部に引っ掻いたような傷跡、スクラッチが入っている場合があります。写真でも青い三本波線の部分にうっすらと縦にスクラッチが入っているのが分るでしょうか。これは二級品を示すスクラッチです。
スクラッチは偽物である理由にはなりません。ロイヤルコペンハーゲンは製造時にほんの少し問題が出たような商品は、バックマークに傷をわざとつけることによって「二級品」として販売することが良くあります。
海外でもこれはよく知られており、非常に微細な問題点であることから、一級品も二級品もあまり変わらない価格で取引されていることが多いです。日本では海外よりも一級品に対するこだわりが強いのか、海外よりも価格の差があるような印象を受けます。
二級品であっても本物ですし、むしろほぼ変わらないクオリティのものが割安で手に入るので、例えば普段使いのロイヤルコペンハーゲンであったり、アウトレットに行ってお買い物するのが好きな方などは、二級品でも全然問題なく使うことができます。
大切なプレゼントなどは心情的に一級品のほうが気持ちよいかもしれませんね。これは個人個人の価値観ですので、場合によって使い分けるのが良いでしょう。
重ねて記しておきますが、二級品は偽物ではありません。
値段が安かった
正規のロイヤルコペンハーゲンのお店でお皿やカップを購入するとやはりお値段もかなり高くなってしまいます。そこでオークションやネット通販を利用して購入したけど、本物なのか心配になるというのはよくあることです。
ロイヤルコペンハーゲンは中古品でオークションでももちろん手に入れることができますが、小傷のある中古品でも数百円や千円台などでロイヤルコペンハーゲンの本物で、ダメージ(欠けやヒビなど)がないものが買えるということは、編集部の調査でもほぼ皆無です。
逆に言うと、モノにもよりますが、ロイヤルコペンハーゲンでも意外とお手頃な値段で買える可能性もあります。値段が多少安かったからと言って、すぐに偽物だと判断してしまうのは早計ですね。
ガタツキ
ロイヤルコペンハーゲンは多くの商品を手作りしています。また焼物ですので、個体差も当然あります。
もちろん出来上がった商品は確認をしてから出荷しますので、そこまで大きなガタツキがある商品はありませんが、ごく小さなガタツキなどがあったとしてもそれで直ちに偽物であるとは断定できません。
年代の古いアンティークなどは、ガタツキが出ているプレートなど特に珍しいものでもありません。手作りの陶磁器ということをまず念頭に置いてロイヤルコペンハーゲンを楽しみましょう。
ペイントに濃淡
よくある心配ですが、ロイヤルコペンハーゲンのカップやお皿のペイントの濃さや線の太さ、細かい絵付けが違うといったことで、片方が偽物なんじゃないかまたは両方心配と思われる方が多くおられます。
ロイヤルコペンハーゲンには絵付けの職人が沢山おられます。ハンドペイントの商品であればペインター(絵付師)のサインが施されていたりすることからも分かるように、多くのペインターさんがおられ、それぞれの個性が商品に反映されます。
そのため、同じ商品でも当然濃淡の違いなどは出てきますし、むしろそれこそが手作りの良さ、ロイヤルコペンハーゲンの良さのひとつな訳です。
ペイントが濃いものが好き、薄いものが好きという個人的な好みはあるかもしれませんが、個体の差を楽しむということも忘れないようにすべきですね。
というわけで、ペイントの濃淡が「結構」違う場合でもそれはロイヤルコペンハーゲンの偽物判定には全く関係がないということになります。
厚さがバラバラ、厚い薄い
これもよくある心配ですが、同じロイヤルコペンハーゲンなのに厚みが全然違うということで偽物じゃないかと心配になってしまう方が多いです。
ペイントの濃淡同様、お皿などの厚みについても、手作りで陶磁器を焼成しているわけですから、多少のばらつき、個性が出るのは当然です。
6枚持っているけど1枚だけ明らかに分厚い、薄いといった場合でもそれだけが原因で偽物であるという判定はできないと考えるべきでしょう。
年代の古い物であれば特にそうです。結構なばらつきがあるといっても差し支えありません。
厚さで心配するのではなく、心配するのであれば他の要素もよく見てから正しく心配をしましょう。
ニュウ、貫入、ひび割れ
ロイヤルコペンハーゲンにもニュウが生じることは陶磁器である以上当然あります。
ニュウや貫入と言いますが、ここではロイヤルコペンハーゲンの表面にできたひび割れのことを言っています。
このニュウは陶磁器の素地と釉薬の膨張率、収縮率の違いによって生まれるひび割れですので、釉薬を使う陶磁器には普遍的な問題であり、ニュウがあるから偽物、本物という話は全く的外れな話と言えます。
ロイヤルコペンハーゲンの表面に細かなひび割れなどが見られるからと言って、偽物の心配をすることは全くないですね。
黒点、焦げ付き、表面の凹凸
ロイヤルコペンハーゲンに黒点がある、黒点が多いということで偽物かどうか心配になることもあります。
黒点は文字通り黒い点で、ロイヤルコペンハーゲンが窯の中で焼成される際に、窯の中の何らかの粒が付着し、そのまま焼かれるなどすることによって、製造工程上でできてしまうものです。
陶磁器である以上は黒点ができることはゼロにはできないものですので、黒点や焦げ付きについても、真贋判定、偽物かどうかとは関係がありません。
表面の凹凸についても、製造の過程で発生するものです。例えば写真のようなムラなどが見られましても、偽物かどうかを心配することではありません。このようなムラなども年代の古いものを中心によく見られる現象ですね。
手作りの良さ、個体差として楽しんでもらえると編集部は嬉しく思います。
釉薬ロス
ロイヤルコペンハーゲンの一部にちょっと手触りの違う箇所がある、という場合があります。
これはたいてい釉薬ロスと言って、釉薬をかけるときにちょっと一部かかっていなかったなどの理由で、一部素地のままになってしまっている場合があります。
これはもちろん製造時の問題ですが、素地に釉薬をかけて焼くという工程上、そのようなことが全く起こらないようにするのは難しいことです。
釉薬ロスについても真贋判定とは関係のないことですね。
インク飛び
ロイヤルコペンハーゲンの絵柄とはちょっと関係がないと思われるところに色がついてしまっている場合があります。
これはインク飛びと言って、ロイヤルコペンハーゲンのペインターが絵付けをする際に、ちょっと関係のないところにインクが付いてしまったというだけのものです。
もちろん機械やコンピューターで絵付けをすれば防げることかもしれませんが、ロイヤルコペンハーゲンは手作りが良い点の一つですから、手作りである以上は完全に防ぐことはできません。
こちらも個体差として楽しむべき項目で、偽物ではないかと疑うことはありません。
ロイヤルコペンハーゲンの偽物ではないが、ロイヤルコペンハーゲンではないもの?
ロイヤルコペンハーゲンは大変長い歴史を持つ会社です。その中で様々な出来事、買収や合併などが繰り返し行われてきました。
その歴史の中で、ロイヤルコペンハーゲンと深い関係がありつつもロイヤルコペンハーゲンではないような商品など、ちょっと混乱してしまうそうな製品があります。
そのような例をここでは2種類ですが、ご紹介いたします。
ビングオーグレンダール、B&G
ビングオーグレンダール社はロイヤルコペンハーゲンと同じデンマークの名窯です。写真は代表的なシリーズ、「シーガル」ですね。
ビングオーグレンダール社は1987年にロイヤルコペンハーゲンと合併をしていますが、合併後もビングオーグレンダールの名前で製品をリリースし続けます。
こちらのバックスタンプの製品はビングオーグレンダールの製品で、ロイヤルコペンハーゲンと一緒になったブランドの製品です。
バックスタンプが違うわけですから、ビングオーグレンダールとロイヤルコペンハーゲンは同一ではないということですね。
ですが例えば、写真のシーガルというシリーズであれば、バックスタンプが、ビングオーグレンダールのものとロイヤルコペンハーゲンのもの、どちらも存在しています。
少しややこしいですよね。
ただもちろんですが、ビングオーグレンダールも名窯ですから、高品質の製品であることは間違いありませんので、それほど気にすることでもないかもしれませんがこちらでは一応言及しておきます。
アルミニア
アルミニアは1882年にロイヤルコペンハーゲンを買収した会社です。のちにロイヤルコペンハーゲンに統一されるのですが、アルミニアは買収後、アルミニアのスタンプとロイヤルコペンハーゲンのスタンプをどちらも使用していました。同じシリーズの製品に、両方のスタンプを伝っていた例もあり少し混乱のもととなっています。
近年はアルミニアのスタンプの商品は出回っておりませんので、特に古いアンティーク等の品を手にされる場合以外は問題はないでしょう。
ロイヤルコペンハーゲンの偽物状況について、少しでも理解していただけましたでしょうか。
知識を持った上でお買い物を楽しんでいただけますと編集部は嬉しく思います。