ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプには実に様々な種類があります。
ロイヤルコペンハーゲンは長い歴史の中で数多くの種類のバックスタンプやロゴマーク、刻印、裏印を生み出しており、すべてのバックスタンプを集めるのはほぼ不可能というくらいの数があるといってよいでしょう。
その中でもかなり多くのロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプはこちらの記事で紹介することが可能です。
例えばお手元のロイヤルコペンハーゲンの年代判定や真贋判定や、インターネット通販やアンティークフェアなどでのお買い物の下調べに、ご活用いただけると嬉しく思います。
目次
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプから簡単に「デンマーク製」など、産地が分かる
まずは初級編ですが、ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプに「DENMARK」という文字が入っているかどうか、というたった1点に着目してみましょう。
DENMARKの文字が入っていれば、デンマーク製ですね。上の写真のバックスタンプにはDENMARKの文字がちゃんと入っていますね。ですのでデンマークで作られたロイヤルコペンハーゲンであることは間違いありません。
入っていなければデンマーク製ではない可能性が高いです。新しいロイヤルコペンハーゲンの製品であればデンマーク外で作られたものでしょう。ただし古い時代の物であれば、デンマークで作られたものであっても、DENMARKという文字が入っていない場合もあります。
こちらの写真の刻印はロイヤルコペンハーゲンの「メガ」というシリーズの刻印ですが、DENMARKという文字が入っておらず、新しいものですので、デンマーク外で作られたものです。
ロイヤルコペンハーゲンは2004年からタイの工場での生産を開始しています。この写真の「メガ」はタイで作られたロイヤルコペンハーゲンなります。
1935年より前の物など、かなり古いロイヤルコペンハーゲンが主なので、あまり気にすることはないかもしれませんが、古いロイヤルコペンハーゲンの中にはDENMARKという文字が入っていなくてもデンマーク製の製品が見られます。
後程紹介いたしますが、ロイヤルコペンハーゲンのトレードマークである「王冠」のないバックスタンプや、「変わった王冠」のバックスタンプも存在し、同じくトレードマークである「3本の波線」が省かれていたりするものもあります。
つまりDENMARKと書いてあるならば、デンマーク製。これは間違いありません。
しかしDENMARKの書いてないならば、デンマーク製ではない。これは厳密には違います。「DENMARKと書いていなくてもデンマーク製のものが少しは存在する」ということです。
初級編としては、「デンマーク製のロイヤルコペンハーゲンが欲しい方はDENMARKがバックスタンプについているかを確認」ということですね。
DENMARKと書いていないようなデンマーク産アンティークなどのロイヤルコペンハーゲンに興味を持つ方は、もう少し深く勉強が必要ですね。
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプで年代特定や真贋判定ができる
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプは、少し知識があればかなりわかりやすく作られています。これが中級編というところでしょうか。
1935年以降に作られたロイヤルコペンハーゲンであればバックスタンプを見ることによって、多くのロイヤルコペンハーゲンの作品であれば作られた年代まで特定することが可能です。
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプについて詳しくご紹介してまいりましょう。
1935年から1949年の年代特定。バックスタンプは上に棒線
1935年より、ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプには年代が特定できる印が付いています。この印の付き方を確認すれば、いつ製造されたものであるか、年代特定が可能なものが多くあります。
例えばこの写真のバックスタンプは、COPENHAGENの「N」の上に棒線がついているのが確認できると思います。
Nの上に棒線がついているのは1949年のバックスタンプなので、1949年の製造であることがわかるといった仕組みですね。
1935年から1949年に作られたロイヤルコペンハーゲンには、ROYAL COPENHAGENの文字の上に棒線がついていることが多いです。
薄くなって点のようになっていたり、消えてしまったりすることもあるので、注意は必要ですが、棒線が確認できれば、年代が特定できると言う訳です。
1935年から1949年のロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプは、文字の上に棒線がついているので、以下の表で確認しつつ、年代特定をしてみましょう。
R | 1935 |
O | 1936 |
Y | 1937 |
A | 1938 |
L | 1939 |
C | 1940 |
O | 1941 |
P | 1942 |
E | 1943 |
N | 1944 |
H | 1945 |
A | 1946 |
G | 1947 |
E | 1948 |
N | 1949 |
これで1935年から1949年のロイヤルコペンハーゲンの年代特定ができますね。
1950年から1984年の年代特定。バックスタンプは下に棒線、アンダーバー
1950年からは文字の下に棒線、アンダーバーが付いています。
こちらの写真のバックスタンプは、「L」の下に棒線(アンダーバー)がついていることが確認できます。
「L」の下に棒線がついているものは、1954年のロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプです。
1950年から1984年のバックスタンプは下に棒線がついているので、以下の表で確認しつつ、年代特定をしてみましょう。
最後のGとEとNは複数年にまたがっていますので注意が必要です。
R | 1950 |
O | 1951 |
Y | 1952 |
A | 1953 |
L | 1954 |
D | 1955 |
E | 1956 |
N | 1957 |
M | 1958 |
A | 1959 |
R | 1960 |
K | 1961 |
C | 1962 |
O | 1963 |
P | 1964 |
E | 1965 |
N | 1966 |
H | 1967 |
A | 1968 |
G | 1969-1973 |
E | 1974-1978 |
N | 1979-1984 |
これで1950年から1984年のロイヤルコペンハーゲンの年代特定を行います。
1985年以降の年代特定。バックスタンプは2文字の外側に棒線
1985年以降のロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプはROYAL COPENAGENの文字がきれいに円形に並んでいます。
円形に並んだ文字のうちの2文字の外側に棒線が付いています。
写真のバックスタンプには「R」と「O」に棒線が付いていますので、1985年から1991年の間に製造されたものであることがわかります。
1985年以降のロイヤルコペンハーゲンは以下の表を参考に年代を特定してみましょう。
RとO | 1985-1991 |
RとY | 1992-1999 |
RとA | 2000-2004 |
RとL | 2005-2009 |
RとC | 2010-2014 |
RとO | 2015-2019 |
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプは真贋判定にも一役買ってくれる
ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレート(年号付きのお皿)は希少性などからプレミアがついているものがあります。そのプレミアがついているお皿の偽物が少し出回っています。
公式ページでもイヤープレートの一部にすごい金額がついているのがご確認いただけます。
例えば1951年のイヤープレートもプレミアがついているお皿のひとつですが、1951年に作られた本物であればもちろん1950年や、1951年のバックスタンプがついているはずです。
1951年のバックスタンプはROYALの「O」の下に線(アンダーバー)がついています。1951年のイヤープレートなのに、2000年頃のバックスタンプが押されている場合は、明らかにおかしいという判定ができますね。
バックスタンプの他にも、ロイヤルコペンハーゲンの偽物について知りたい方は以下の記事に詳しくまとめています。
合わせて、偽物をつかまないために、編集部おすすめのロイヤルコペンハーゲンのインターネット通販サイトをご紹介しておきます。
新品は公式のブランドショップが、もちろんおすすめですが、新古品や中古品を扱われているグラスクラシックさんは価格も対応もよく安心でおすすめです。ご存じでない方は一度ご覧ください。
ロイヤルコペンハーゲンは他のパターンのバックスタンプもある
こちらでは上級編でしょうか。あまり見られませんが、変わったバックスタンプのロイヤルコペンハーゲンもあるというお話です。
ロイヤルコペンハーゲンの古いバックスタンプや、それほど古くはないものでも、これまでご紹介したバックスタンプには当てはまるものがない場合も実はあります。
写真のバックスタンプは、ロイヤルコペンハーゲンのトレードマークである王冠がありませんね。。でも本物です。
王冠マークがなく3本の波線だけだったり、逆に王冠だけで、トレードマークの3本波線がなかったりするバックスタンプもあります。
ちなみにこちらのミッドサマーナイトドリームというカップは、バックスタンプから、1985年から1989年の製造のロイヤルコペンハーゲンであることがわかるのです。
他にも珍しいバックスタンプをいくつか紹介しましょう。
これはだいぶ古いロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプです。
王冠マークはなく、3本波線らしきものがシャシャっと入っているだけの一見、本当にロイヤルコペンハーゲン??となってしまいそうなバックスランプですね。
Kを組み合わせたようなよくわからないマークも入っていますね。
これは実はKnud Kyhn (1880-1969年)というデザイナーのサインで古い時代にロイヤルコペンハーゲンの作品をデザインしていた、デザイナーさんのマークです。
これも歴史あるロイヤルコペンハーゲンだからこそある、希少なバックスタンプのひとつです。
こちらも古いバックスタンプですが、王冠の形が普通ではないですね。
簡略化されたかのような王冠がついているバックスタンプでいかにも怪しいと思ってしまいそうですが、こちらも本物のロイヤルコペンハーゲンです。
こちらは王冠じゃなくてもうハートマークです。。
これでもちゃんとした本物のロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプです。
このようにロイヤルコペンハーゲンは様々なバックスタンプがありますので、ここに紹介されていないバックスタンプであっても、絶対に偽物であるという証明にはなりません。気になる方は編集部のおすすめショップなどに聞いてみましょう。気軽に聞いても快く教えてもらえますよ。
※公式ショップでは古い刻印などについては答えてもらえない場合が多いので注意が必要です
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプの各要素について
最後に、ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプには数字などいろいろな情報がありますが、各情報が何を表しているのか、ご紹介しておきましょう。
まずここまで読んでいただいた方であれば、ロイヤルコペンハーゲンの王冠マークや、製造時期の印については分かりますよね。
3本の波線についてはこちらもロイヤルコペンハーゲンのトレードマークで、デンマークの3つの最も重要な水域を表しています。3つの水域とは、スンド海峡、大ベルト海峡そして小ベルト海峡です。
こちらのバックスタンプには、さらに「1」と「175」という数字が書かれていますね。
ロイヤルコペンハーゲンの代表的なシリーズである、プレインレースやハーフレース、フルレース、ダブルフルレースは、この数字がすべて「1」ですので、パターンナンバー(シリーズ番号)を表しています。
ロイヤルコペンハーゲンと言えばこのデザイン、ですから「1」であることは頷けますね。
175という番号は型のナンバーです。
また3本波線の横の「VX」のようなものはペインター、絵付師さんのサインになります。
1980年代からバックスタンプの数字が手描きではなくなり、番号も変わった
ロイヤルコペンハーゲンは1980年代から徐々にバックスタンプのハンドペイントを廃止しました。それに伴い、番号もシステムが変わってしまいました。例えばカップアンドソーサーでは同じ番号が手描きされていたのが、手描きを廃止した後はカップとソーサーの番号が変わってしまっています。ひとつ例をあげましょう。
こちらは廃止前のブルーフルーテッド、ハーフレースのティーカップアンドソーサーのバックスタンプです。
ブルーフルーテッドの「1」と、このティーカップアンドソーサーの型の番号の「525」が手描きされています。ソーサーには「525-656」と書かれていますが、このソーサーが「525」のカップにも「656」のカップにも使うことができるということを意味します。つまりこのカップはどちらもデコレーション番号が「1」のブルーフルーテッドで、形が「525」のティーカップアンドソーサーであることがわかります。
こちらは手描きでなくなった、ブルーフルーテッドのハーフレースのティーカップアンドソーサーのバックスタンプです。カップに「081」、ソーサーに「082」とスタンプされており、他には数字は見当たらず、ブルーフルーテッドの「1」が見当たりません。
カップとソーサーも別の番号になっていますし、「1」もないことからかなり数字の入れ方が変わったようです。
ちなみにお手元にもし、手描きをしていたころの番号と新しい番号の商品で、同じものなのかどうかわからないときなどは、ロイヤルコペンハーゲンに問い合わせれば照合できるそうです。
こちらはブルーフルーテッドのハーフレースのティーカップアンドソーサーです。先ほどのハーフレースの柄と見比べればわかりますが、柄が違いますね。でもバックスタンプは「081」と「082」となっており、先ほどのハーフレースと同じです。ちょっとややこしいような気もしますね。
ロイヤルコペンハーゲンのブルーフラワーのバックスタンプの数字を見比べてみよう
ロイヤルコペンハーゲンのブルーフラワーのコーヒーポットと、シュガーポット、クリーマーの3点セットです。
こちらの3点の底のバックスタンプの数字を確認してみましょう。
コーヒーポット 10/8189
クリーマー 10/8026
シュガーポット 10/8081
シュガーポットは写真では見にくいですが、このように書かれています。
上の数字はすべて「10」ですね。ということはブルーフラワーというシリーズ番号(パターンナンバー)は「10」なのでしょう。
そしてこのコーヒーポットの型番は「8189」、クリーマーは「8026」、シュガーポットは「8081」なのですね。
ちなみにこちらの写真はコーヒーポットのフタのバックスタンプです。本体と同じ「10/8189」の数字が書かれていることがお分かりいただけるでしょう。ポット本体と蓋がちゃんと合っているということですね。もちろんシュガーポットの蓋にも本体と同じバックスタンプが付いていました。
これで2つの数字の意味はご理解いただけたかと思います。
またペインターのサインはかなりバラバラであることも分かりますね。コーヒーポットの本体と蓋も違うペインターのサインです。バックスタンプだけでもこれだけ色々な情報が得られるということがわかりますね。
フローラダニカのバックスタンプ
こちらはロイヤルコペンハーゲンの最高峰、フローラダニカのバックスタンプです。
先ほどのバックスタンプと違う点にお気づきでしょうか。
そうですね、ペインターのサインのようなものが2つあります。
フローラダニカは金の部分をペイントする職人と、それ以外の部分をペイントする職人の2人のペインターの手によって完成されています。
一枚のお皿の絵付けを二人でというと何とも贅沢ですが、これもフローラダニカ、ロイヤルコペンハーゲンの最高峰たる所以のひとつですね。
フローラダニカについては以下で詳しく説明しております。
バックスタンプに焼き方などの追加情報が書いてある場合も
こちらのロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプの3本波線の下には消えてしまって、見にくいですが、FAJANCEと書いてあります。
これはファイアンス窯、ファイアンスという製法で作られたということを示しています。ファイアンスは低温(1100℃)で焼成する焼き方です。
他にも先ほどご紹介したKnud Kyhnのサインのように、バックスタンプにデザイナーのサインが入っているものも存在します。
二級品のバックスタンプにはスクラッチがある
こちらはご存知の方も多いでしょう、バックスタンプにスクラッチが入っているものは2級品の印です。3本波線の上にうっすら、ひっかき傷のようなものが見えると思います。
2級品といってもロイヤルコペンハーゲンですから、1級品よりは少し落ちますが、よい価格で販売され出回っています。
違いも素人目にはほぼわからない程度のものです。
2級品や偽物についてはこちらの記事でまとめていますので合わせてご覧いただけると幸いです。