ロイヤルコペンハーゲンの1995年版イヤープレートはコペンハーゲンにある古いお城をモチーフにしたデザインになっています。同時代の他のプレートと比べると、値段がかなり高くなっていることも特徴のひとつです。いったいどんなデザインのプレートで、なぜ値段が高いのでしょうか。
目次
ロイヤルコペンハーゲンの1995年版イヤープレートの特徴
同年代にリリースされたの他のプレートよりも高額なロイヤルコペンハーゲンの1995年版イヤープレートはどのようなデザインになっているのでしょうか。その特徴をご紹介します。
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1995年版イヤープレートのデザイン
ロイヤルコペンハーゲンの1995年版のイヤープレートのタイトルは「マナーハウスでのクリスマス」です。コペンハーゲンに14世紀に建てられたホルスタイン城がメインモチーフになっています。このお城は領主だったホルスタイン家のマナーハウス、つまり邸宅だったのです。
イヤープレートの絵はそのお城を背景に、ソリにクリスマスツリーを乗せて運ぶ家族の様子を描いたものです。
1995年版イヤープレートは値段が高い
この1995年版のイヤープレートは、その前後の年のプレートの値段と比べると、かなり高く取引されています。
そのひとつの理由は、1995年に大規模なストライキが起こり、ロイヤルコペンハーゲンの生産も落ちたため、需要に対して販売された数が少なかったためだと言われています。
また、日本国内で入手できる1995年版イヤープレートが特に少ないのですが、これは、ある著名人が結婚式の引き出物として大量に購入したことが要因になっているそうです。
ロイヤルコペンハーゲン1995年版イヤープレートのデザインの背景
1995年版のイヤープレートの値段が高いのは、前の章で述べたように、需要と供給がマッチしないことが一つの要因になっています。
ただ、それだけでなく、プレートのデザインにも、人気の秘密があるようです。どんな魅力があるのか、使われているモチーフを詳しく見ていきましょう。
コペンハーゲン郊外のホルスタイン城
写真提供:Bococo
1995年版イヤープレートの主要モチーフになっているのが、コペンハーゲンの郊外にあるホルスタイン城です。
元々の城は14世紀、ロイヤルコペンハーゲンの本国であるデンマークがまだジーランドと呼ばれていたころに建てられましたが、1707年にホルスタイン家によって所有されるようになり、その一家の名前をつけてホルスタイン城と呼ばれるようになりました。
このお城の本館は、海を見下ろす海岸近くに建てられており、デンマークの有名な作家アンデルセンも訪れたことがあると言われています。
初めて屋内でクリスマスツリーが飾られるように
1811年、デンマークで初めて、クリスマスツリーがホルスタイン城の中に飾られました。この城にとっても初めての屋内のクリスマスツリーでしたが、デンマークでクリスマスツリーが屋内で飾られるようになったのは、この時が初めてだったのです。
それ以来、森からもみの木を切って家庭に持ち込み、飾りをつけてクリスマスを祝う習慣が一般に広まりました。
1995年版のイヤープレートは、デンマークでこのようなクリスマスの新しい伝統が始まった場所、ホルスタイン城をモチーフとしているため、人気があるのかもしれません。
家族がプレートのモチーフに
もうひとつ注目したいのが、家族がクリスマスの準備をしている風景が描かれていることです。
ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートは始まってから長い間、キリスト教関係のモチーフ、つまり教会や聖職者をテーマにしていました。
そうしたモチーフは1960年代から徐々に普通の人間が登場する絵に変わって行ったのです。1995年版のイヤープレートもそうしたトレンドを反映し、クリスマスツリーに使うもみの木をそりに乗せて、城の門に向かって運んでいる家族の様子が描かれています。
そりを引く大人と、手をつないだ子供が急ぎ足で城の門に向かっている様子から、「早くクリスマスツリーを飾りたい!」という高揚した気持ちが伝わってくるようです。
ロイヤルコペンハーゲンの1995年版イヤープレートと似ているプレート
1995年の前後年のイヤープレートには、1995年版イヤープレートと似たモチーフを取り入れているものがあります。1994年、1996年、1997年のイヤープレートがそれです。この3つのイヤープレートでは、1995年版と同じように、クリスマスの準備をする家族の様子が描かれています。
1994年版イヤープレート
出典:Royal Copenhagen
1994年版のイヤープレートは、そのタイトル「お父さんとお買い物」からわかるように、買い物に出かけ帰って来た父親と2人の子供を母親が出迎えている様子を描いています。
普段は買い物に行かないお父さんが子供たちといっしょに、お母さんのためにクリスマスプレゼントを買いに行ったのでしょうか。そりの上に乗っているプレゼントらしきものが見えるのが心憎いですね。
1996年版イヤープレート
出典:Royal Copenhagen
1996年版のイヤープレートは「街灯をともす頃」がタイトルです。クリスマスにはどの家庭でも家族の間でプレゼントをやり取りするのですが、この絵にはそんなプレゼントを買いに行って帰ってきた親子の様子が描かれています。ここでも父親と2人の子供のように見えます。
プレゼントを選ぶのにあまりにも慎重になってしまったので、街灯がともる頃まで時間がかかってしまったのでしょうか。クリスマスの楽しくあわただしい一面が現れています。
1997年版イヤープレート
出典:Royal Copenhagen
「ロスキレ大聖堂」というタイトルの付いた1997年版のイヤープレートは、ロスキレ大聖堂の前のクリスマスツリー売り場で、家族がツリーを選んでいる様子を描いています。
今ではプラスチック製のクリスマスツリーを使う場合がほとんどですが、かつては毎年、本物のもみの木を選ぶこともクリスマスの準備のひとつだったのです。
デンマークでクリスマスツリーが初めて屋内に飾られたホルスタイン城をモチーフにした1995年版イヤープレート、いかがでしたか。
ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートは最初の頃、キリスト教に直接関係のある教会や聖人をモチーフにした絵が多かったのですが、1995年版ならびにその前後年のイヤープレートでは、モチーフが一般の家庭におけるクリスマスの準備になっています。
この時代には、それだけクリスマスが身近なものになったことを意味するのではないでしょうか。
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