バカラの刻印はおなじみの丸い刻印が有名です。
このバカラの丸い刻印ひとつをとってみても、年代等によって実は何種類も存在します。
お手元のバカラのグラスの刻印がおかしい?
バカラだと思っていたのに刻印がない?
そんな疑問はバカラをお持ちの方なら誰でも一度は考えた経験があるのではないでしょうか。
ここではバカラの様々な刻印をご紹介してまいります。
また、「バカラのような」刻印も併せてご紹介してまいりますので、
真贋鑑定や、年代判定などにもご利用いただけるでしょう。
目次
バカラのおなじみの丸い刻印も色々な刻印が存在する
バカラのおなじみの丸い刻印。1970年以降
バカラのおなじみの丸い刻印は、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
上の写真のような形だったかもしれませんし、あれ?ちょっと違うなと思い方もいらっしゃるでしょう。
バカラの刻印には実はいろいろな種類があります。
上の写真の刻印は1970年以降に使われ始めた刻印で、周囲の丸がどころどころ切れていますし、くっきりとした刻印です。
円の内部の上のほうにBACCARATの文字が、下のほうにFRANCEの文字がしっかりと確認できます。
バカラの刻印が反転している
こちらのバカラの刻印は少し違いますね。文字が反転しています。刻印の下のBaccaratのサインも反転文字になっています。
この写真はグラスの底部側からとったものですが、上から見ると文字が反転せずに見えます。
刻印がしっかりと見える底部に装飾がないグラスなどによく使われる反転した刻印、サインになります。
反転している刻印やしていない刻印があるのも面白いポイントですね。
バカラの刻印、1936年から1969年
バカラの刻印でも、1969年以前は少し違った見た目をしていました。
こちらは1936年から1969年使われていた刻印です。
BACCARATの文字同士の間隔が次に出てくる刻印よりも少し狭いのが、比較していただくとお分かりになると思います。
間隔の狭い刻印ですので、1960年前後の刻印ではないかと推測できますが、確実なのは1936年から1969年の間の刻印であるということです。
刻印がにじんでいたり、消えかかっていたりするので、本物かと心配なさる方もおられますが、本物のバカラの刻印です。
このバカラの刻印は先ほどの刻印と比べるとBACCARATの文字通し間隔が広いことがお分かりいただけると思います。
よく見ると、真ん中のボトル(デキャンタ)の形や周りのグラスの形も少し違うことに気が付かれるかもしれません。
こちらも先ほど同様に1936年から1969年の刻印ですが、文字間隔が広い刻印は1940年前後の刻印だと推測できます。
バカラの刻印「Baccaratのサイン」が1990年から入り始める
バカラのサインについては、1990年からレーザーで入り始めたものになります。
バカラのおなじみの赤い箱や手さげ袋に書かれているBaccaratのロゴが1990年からグラスなどに施されるようになりました。
おなじみの丸い刻印とバカラ社のロゴのBaccaratサインがダブルで入リ始めたのが1990年です
1990年以降に製造されたグラスは原則、バカラのおなじみの丸い刻印と、Baccaratのサインが両方入っています。
バカラのサインも実は1種類ではなく何種類かのパターンがありますし、同じグラスでも違う位置に刻印やサインがある場合があります。
バカラのブランドシールとは
バカラのおなじみの丸い刻印は1936年から入りはじめましたが、それより前は何の印もなかったのでしょうか。
実は1936年以前のバカラには、グラスの底部などにバカラのブランドシールが貼られていました。
シールですので、簡単に剥がれてしまいますので、現存しているシールはほとんどありません。
たまに残っているものもありますが、写真のように少しダメージがあったりする場合がほとんどです。
バカラではないグラスに貼り変えられている例もあるようなので注意が必要ですね。
それでも少数ですが、シールがきれいに残っている、グラスがほぼ使われていなかったような状態で出てくることも稀にはあります。
バカラのシールを見かけることができればラッキー、かもしれませんね。
バカラの刻印、マーク、ロゴが全くないグラスは偽物?
バカラの刻印やマーク、ロゴなどが全く入っていないグラスですと、本物かな、と心配になる方も多くいらっしゃいます。
前述の通り、1936年以前はシールが貼られていただけでしたので、それが剥がれれば刻印も何もないグラスです。
真贋鑑定はもちろん簡単ではありませんが、そちらの見分け方の基礎はこちらにまとめております。
バカラの刻印やマーク、ロゴが全く入っていなくても、バカラである可能性は十分にあります。
編集部ではこのような、1936以前に製造された、刻印のないバカラを「オールドバカラ」と呼んでいます。
オールドバカラには根強いファンが多く存在します。
なぜなら、新しい時代のバカラよりも古い時代のオールドバカラと呼ばれるバカラのほうが、「品質が高い」からです。
なぜ品質が高いかというと、最も大きな要因は貧富の差が激しく、クリスタルの職人のお給料が低かった(貴族はすごくお金持ちだった)ということがあります。
つまり職人は「一つのグラスに膨大な時間を使うことができた」というわけです。
普通に考えて採算が合わないような、手間暇のかかるグラスも、オールドバカラの時代では成立したということですね。
そのような時代のアンティークのバカラを所有することが、オールドバカラのファンを魅了しているということです。
ご興味があれば、オールドバカラまで行かなくとも、1936年から1969年の刻印が入った「ヴィンテージ」のバカラも体験してみるのもよいでしょう。
そのようなバカラは編集部おすすめ店の一つの、こちらのお店で多く取り扱われています。
バカラの刻印、「BACCARATのレリーフ」とは何か
バカラのお品の中には、数は少なめですが、型押しでBACCARATのレリーフが彫られているものが存在します。それらにはバカラの刻印も施されていない場合も多いですので、写真にて確認していきましょう。
またオールドバカラなど1936年以前の刻印がなかった時代でも、型押しの大型商品などの中にはBACCARATのレリーフがついているものが存在します。それらもあわせてご紹介いたしましょう。
バカラのアラベスクというシリーズのボウル底部についたBACCARATの文字のレリーフです。このように型押しでBaccaratのレリーフが彫られるという例もあります。商品一面にアラベスク模様が施された商品なので、刻印を付けても目立たないかもしれませんね。
オールドバカラのトレイのレリーフです。型押し成型のトレイで、おなじみのバカラの刻印が存在しなかった時代でも、BACCARATのレリーフが施されているお品です。刻印がなくともバカラのお品であることが非常にわかりやすいですね。
こちらも同様にオールドバカラのボウルのレリーフです。型押し成型のボウルで、底部にBACCARATのレリーフが施されています。
同じボウルの底面にBACCARATだけではなく、DEPOSEという刻印もされています。これは意匠登録のようなもので、要は「登録済みですよ」という意味です。このDEPOSEのレリーフがあるものもオールドバカラの中には多いですね。
バカラの刻印だけでなく、他のマーク、刻印、ロゴが入っている
バカラ社が入れた通常以外のマーク、刻印、ロゴ
バカラ社は刻印やサインのほかに、グラスに何かしらのマークを付けることがあります。最もわかりやすい例としては、日本限定で2010年から始まった年号グラスの、年号の刻印かもしれません。こちらは2014の刻印がありますので、バカラのステラのロックグラスの底部の写真です。
日本限定の年号グラスについては以下の記事ですべて確認できるようにしております。
バカラのミルニュイというシリーズのロックグラスの底面の写真です。おなじみの丸いバカラの刻印。バカラのサインと共に、何か書いてあるのがわかるでしょうか。
これはMathias(マティアス)と書いてあります。マティアスとはこのミルニュイをデザインしたデザイナーの名前ですね。バカラは度々デザイナーとコラボするなどで、デザイナーのサインを作品に入れることがありますね。
バカラのグラス、アンタンジブル・スピンの刻印です。アンタンジブルシリーズはアリックレヴィというデザイナーがデザインをしました。Arik Levyというサインが、バカラの刻印、サイン以外にも見られます。このようなデザイナーのサインをみて、偽物ではないかと思われる方もいらっしゃいますが、デザイナーのサインなのでそんなことはない、ということですね。
バカラの花瓶にもデザイナーのサインが入っていることもあります。RRIGOTという文字が入っていますが、こちらはロバートリゴット(RORERT RIGOT)のサインになります。
バカラのトランキュリティという希少シリーズの刻印です。何か見慣れないマークが入っています。どこかの企業のロゴかとも思えますが、こちらもデザイナーのサインです。バーバラバリーというデザイナーのイニシャルがBBですから、Bが2つ入ったマークが施されています。
企業が入れた通常以外のマーク、刻印、ロゴ(コラボ商品)
こちらはバカラの刻印の周りにWHITE HORSEと書かれているバカラのグラスです。ホワイトホースはご存知の方も多いかもしれませんが、ウイスキーの商品名ですね。日本の企業でもバカラのグラスに「伊藤園」と彫られたグラスがあったり、様々な企業がバカラのグラスに企業のロゴを入れて、懸賞や福利厚生に利用していますので、バカラのグラスには企業が入れたような刻印もよく見られます。
他には例えばプロ野球のチームが、年間シートを契約した人へのプレゼントとしてチームロゴ入りのグラスを贈っていたりと、様々な企業や集団のロゴがバカラのグラスに刻印されていることもあります。
個人が入れた通常以外のマーク、刻印、ロゴ
こちらはバカラのグラスが引き出物に使われた際に、彫刻されたものだと推測されます。他には個人のイニシャルや、恋人同士の名前など、俗にいう「名入れ」をバカラのグラスにしているようなグラスもあります。
様々な彫刻がバカラのグラスにはされているので、何かしらの彫刻などを見つけた際には、バカラが行った元々の彫刻なのか、企業が入れたものか、個人が入れたものか、色々な可能性があることを頭の隅に置いておくほうがよさそうですね。
バカラの真似をした偽物の刻印とは
この刻印はバカラの刻印ではありません。編集部の調査では、バカラの工場があるバカラ村には、本物のバカラの工場の周りにもクリスタル工房がいくつもあるようで、そのバカラ村の「バカラではない」工房がこのような紛らわしい刻印を入れて、お土産品として販売していることがあるようです。くれぐれも紛らわしい刻印のものをバカラのグラスだと思って購入するということのないよう願っております。
バカラの赤いシールがグラスに貼ってある、ない?
これは先に言ってしまうとさほど重要なことではないのですが、思った以上にグラスに直接貼ってあるバカラの赤いシールの有無を気にされる方が多いですので、編集部が責任をもって、しっかりと説明させていただきます。
バカラのグラスに貼ってある赤いシールは、バカラの正規店で新品を購入しても、すべてのグラスに貼ってあると言う訳ではありません。シールが貼ってないから未使用品ではないと思われる方もおられるようですが、例えばペアのグラスの片方だけにシールが貼ってあったり、6客セットを購入した際には1客にしかシールが無かったりということは当たり前のようにあります。バカラシールの有無では、未使用かどうかなどの判定は一切できませんので、シールがあるグラスでも、シールはおまけ程度に考えてよいでしょう。
いかがでしたでしょうか、お役に立ちましたでしょうか。
思ったよりも様々な刻印が、そして奥が深いと思われた方もいるかもしれませんね。
お手元のバカラのグラスや、これから買おうかとしているバカラのグラス年代判定や真贋判定のお役に立てたのであれば幸いです。
真贋判定については、以下の記事にて刻印だけではなくさらに詳しくバカラのグラスの特性をご紹介しております。あわせてご参考になれば幸いです。
編集部おすすめのお店もこちらで紹介しております。